012.こんなCDとカセットを聞いて作品の着色と植毛をしました その2~無限地獄突入編

K氏、あけましておめでとうございます。今年も与太話に宜しくお付き合いの程。

第8回目のこのブログを読んだ友人が、TASCAMのPORTASTUDIO424という機種の4トラック方式のカセット・レコーダーを年末に送ってくれました。それで年明けの1月4日、わたくしそれを自部屋のオーディオに接続 ↓ してみたのです。

こういった機種についてはあんまり詳しくないのですが、おそらく1980年代前半くらいから90年代半ばくらいまで普及したであろうレコーダーなのです。何せカセット・テープ式ですから。いわゆる宅録少年達が愛用したのでしょう。友達にもそういう人が何人かいましたので。なぜか皆さん前髪をかきあげながら口を突き出し、教授気取りでセコセコと録音していました。しかしあくまでもレコーダーなので、デッキとしては使用できるのかなと思っていたのです。互換性というか、果たして音がちゃんと出るのだろうかと。

それで接続してみると驚くほどすんなりと!音が出ました。それもかなりの高音質で!クローム・テープ専用機と説明書に書いていましたが、ノーマルでも問題無く再生出来ました。上記写真を見ると解るように、かなりたくさんのツマミ類がディスプレイされています。今後私が宅録する事はおそらくないと思いますが、それでもこれら本来は録音用のツマミが、再生時のバランスや音質の細かい調整に意外と効果を発期してくれるのです。

このTASCAMのカセット・レコーダーに関しては最後にもう一度触れるとして、さて今回は。

 


 

前回、前々回と追悼ブログ『安藤昇と野坂昭如にレコード・マニアの追悼!』を書きましたので、今回は第9回からの続きです。内容を忘れた方はもう一度遡って読んでみて下さい。では始めます!

 

●第5日~第8日 果たしてこれで良いのかという疑問を投げかける音楽を!
第4日の終わりに「まったりと着色作業と音楽が続き、何とか4日目まで無事終了です」と書きましたが、このあたりになると疑問が生じて来るのです。

「他人から見れば八割方完成しているように見えるかも状態」とも書きましたが、実はこの状態というのは作品を創造する過程で結構危険な状態ではないかと思うのです。つまり「他人の考えるあと2割」を手っ取り早く充填すれば、作品は簡単に完成してしまうのです。何にでも最短距離というものがありますが、最短距離で行くのが良い場合と悪い場合があります。

少しでも何か創った事がある方なら解ってくれると思いますが、そうして完成させてしまった物をしばらくして後から見た時に、何かが物足りなく感じてしまった事はないでしょうか?

作品というものは完成後かなりの年月を経た場合などに、本人の意向とはまるで関係無く意図せざる他人が見てしまう可能性があります。それはコントロール出来ない性質のものなのです。その作品が優れていようがなかろうが、高値で取引されていようがタダ同然であろうが、作品が目に触れる時は触れるのです。偶然なのです、偶然。作品とは恐らく幽霊の仲間なのです!

作品の着色作業の経過写真も無いので想像してもらうしかないのですが、第4日時点での私の蝋彫刻作品の表面の色は、非常にまとまりかけてしまっているのです。そこで今この時点で必要な音は、そのまとまりに「待った!」をかける音楽なのです。しかも日本語で現状に疑問を投げつけるといったいわゆるプロテスタントな歌詞の曲ではなく、サウンドや存在自体が得体の知れない感じとでも言うのでしょうか。。。

◎『PSYCHIC TV / FORCE THE HAND OF CHANCE』◎『E. HYOLEE / DARK ANGEL』(韓国の女性アイドル歌手)◎『安田明とビート・フォーク 他 幻の名盤解放歌集 / サヨナラは出発のことば』◎『マーク・スチュワート / エディット』◎『FRED FRITH / SPEECHLESS』◎『ルー・リード / 警鐘』◎『MX-80 / BIG HITS/HARD ATTACK』◎『筋肉少女帯 / SAN FRANCISCO』◎『特撮 / 爆誕』◎『PERE UBU / LADY FROM SHANGHAI』◎『TINY TIM / ROCK』◎『スーサイド / ハーフ・アライヴ』

実際はもう少し聴いているのですが、解りやすくする為に12枚に絞りました。特に意識した訳ではないのですが、ニュー・ウェーブ/オルタネイティブ系が多くなりました。

日本語の音楽が非常に少ない中に大槻ケンヂ氏の『筋肉少女帯~特撮』があります。実はこの方の音楽作品群は全然把握出来ていないのですが、たまたま入手した上記の2枚が何故か私がこの段階で求める音にピッタリとハマり、ここ近年の作業には欠かせなくなりました。

 

●第9日~第11日 「まったり」と「覚醒」が交互にやって来る無限地獄に突入!
さて、次の段階に突入しました。自分に疑問を投げかけてばかりでは先に進みません。第8日目までの着色作業で、蝋彫刻作品の表面の色にかなり「動き」が復活して来ました。

しかし何事もそうだと思うのですが、辛い食べ物を続けていると辛さに慣れてしまいます。「動」ばかりでは「静」が引き立ちません。作品の表面に於いても同じ事が言えます。

この段階での着色作業ではその事を踏まえて選曲しました。これも12枚に絞っています。野球で言うジグザグ打線のような、ゆっくり系とスピード系を交互に配置。若干、3日目~4日目辺りののんびり感と、初日のシャキシャキ感の着色作業を復活させる感じで。作品の表面を少しまとめては、壊す!ナデナデしては、ビンタを張る!全てはCDに合わせて。

◎『幻の名盤解放歌集 / ニャオニャオ甘えて』(まったり)◎『クラフトワーク / コンピューター・ワールド』(覚醒)◎『オムニバス /(韓国演歌ですが読めないので表記出来ません)(2枚組)』(まったり)◎『エレファントカシマシ / エレファントカシマシ(1st)』(覚醒)◎『ロイ・オービソン / キング・オブ・ハーツ』(まったり)◎『あぶらだこ / あぶらだこ(2nd)』(覚醒)◎『GAINSBOURG / JE T’ AIME…MOI NON PLUS』(まったり)◎『ザ・ルースターズ / ザ・ルースターズ(1st)』(覚醒)◎『高田渡 / ファースト・アルバム ごあいさつ』(まったり)◎『M.I.A. / MAYA』(覚醒)◎『大塚まさじ / スーパー・ベスト』(まったり)◎『MARK STEWART / DREAM KITCHEN(シングルCD)』(覚醒)

いまや完全に音楽に操られています。まるでゾンビです。わたくし全く意志がありません。これで作品を制作していなかったら完全になんたら性かんたら障害なのでしょう。なので、早く次の段階に進まなければ日常生活に支障をきたしてしまいます。

———さて作業は何とか無事、11日目まで終了しました。やっと少し先が見えて来た感じです。しかし、本当の正念場はこれからなのです。私の眼はミクロ・モードに設定完了しました。

第12日以降、次回に続きます。いやが上にもどんどんとわたくしの孤独感は増していきます。

 


 

さて冒頭に書いたTASCAMカセット・レコーダー話なのですが、予想外の良い音に驚いています。

一般的なカセット・デッキとは違い、このカセット・レコーダーにはレコーダーならではの録音用に用いられる左右のバランス調整や、高音低音ツマミ、スピード調整といった機能があり、これをカセット・デッキとして使用した場合かなり充実した機能が発揮されるのです。

それで最近、去年の夏に入手したステレオ・ラジカセ “七夕号” でさんざん聴いたカセットを、改めてこのTASCAMのカセット・レコーダーで聴きなおしているところです。

市販されたソフトとはいえ、音の悪いカセット・テープはたくさんあります。更に、経年劣化した音の悪いカセットは左右のバランスが悪くなったものが多いのです。やがてそれが進むと、高音域の出量がだんだんと少なくなっていきます。

———K氏K氏、一寸聴いて下さい!こうやって左右の音のバランスを矯正すると、、、ほら、かなり聴きやすくなるでしょ!次にかなり出の悪くなった高音をこのツマミで上げて、ついでに低音もかなり上げ気味にして、、、スピードも若干落ちてるみたいだし、、、こうやってあちこち調整すると、、、ホラ不思議!こんなにも音が良くなるとは。最初っから音質劣悪のこのインディーズ物のカセットも、見るからに海賊版のこのアジア物も、このTASCAMさえあればまるでエラソーにリマスターされたSHM-SACD並の音に。といってもわたくしSHM-SACDなんて1枚も聴いた事ないのであくまでも想像ですが。いやホント、このTASCAM最高!これさえあればどんなカセットも高音質に。いやぁやっぱり良い音でカセットを聴くのって最高だね、K氏!

、、、でもさっきからK氏の言葉数が少なくなっているのが大変気にかかるのですが——–

K氏、わたくしやっぱり相当に矛盾した、殆どなんたら性かんたら障害の人間なのでしょうか?

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