018.持病と因果な音楽趣味 その1~偏頭痛を悪化させる素晴らしき音楽群

<※写真は図らずも偏頭痛っぽいイメージになりました>

唐突ですがK氏、カラダって健康ですか?特に持病とか無いんでしたっけ?すでにご承知の事と思われますが、わたくし実は結構やっかいな持病を抱えてしまっているのです。

———何度か話したと思いますが、その持病とは「偏頭痛」なのです。

「片頭痛」とも表記するみたいなのですが「偏頭痛」の方が何となく少し高尚な感じがして、、、って、そんな事もないか。その中の「群発頭痛」って言うやっかいな豚野郎が私を苦しめるのです。

———原因はもうはっきりと判明しているのです。「首」から来ているです。

長年の作業によるかなり無理な姿勢、しかしその体勢でなければ絶対に出来ない作業というのが確実にありまして。つまりその姿勢をとり続ける事によって「首」への負担が増大!するのです。

大学卒業から今現在に至るまで仕事も作品制作も全く同じ姿勢、そりゃ負担も半端ないでしょう。殆どの重要で細かい作業は、椅子に座って膝の上にロウという物体を乗せたままする訳ですから。

中でも一番面倒な作業は半田ゴテで溶かしたロウを一滴ずつ、ロウ作品本体の適所に垂らし、少しずつ固まらせながら形を形成すると言う行為です。当然溶かしたロウは液体化しています。私の使用するロウは溶かすと殆ど粘りっ気が無くなり、かなりさらさらとした液状になるのです。

想像してごらん。私の手掛けるロウの立体物は、仕事・作品を問わず球体に近い形態、あるいはかなり不定形な形状が殆どです。その不定形なロウの上に一滴ずつ液体ロウを垂らしていくのです。例え国境は無くとも、この部位にロウを足さねばと言う「作品上の国境」は確実に存在するのです。

想像してごらん。例えれば膝の上でバランスを保ち動きを固定したバスケットボールの表面に、スポイドで一滴また一滴と水滴を乗せていく感じです。その水滴が地獄に流れ落ちないようにと、暗黒舞踏演者の様な動作で白目を剥いてバランスを取っている訳なのです、例え天国は無くとも。

そんな8流のサーカスに於いても地味で人気の出なさそうな、曲芸的・変態的・憂鬱的な行為を何年も継続して繰り返しているのですから。そら、あしのくびら、かあ、どれっとばいら、、、すみません。終生家族でさえ翻訳出来得なかった、私の父の訛りが噴出してしまいました。

 


 

それにしても「偏頭痛」たるや相当面倒くさいモノです。煩ってかれこれ十数年にもなりますが。去年は眼鏡を変えた事で偏頭痛が発症し、前半の約半年間、まるっと棒に振ってしまいました。今まで人生で一体どれくらいの時間を無駄にしたのか、、、考えるだけで偏頭痛が再発しそうです!

この症状が全く解らない人の為に多少説明をしますと、私の場合一旦偏頭痛モードが起動すると短くて1ヵ月、長くて3ヵ月、痛みが持続している状態になります。持続していると言う事は決してゼロにはならないという事です。痛みが少ない日もありますが、常にほんの少し痛いのです。イーノのアンビエンス概念「聴こえるか聴こえないかで常に音が流れている」如きのイヤな状態!

しかし変な言い方ですが、精神的には偏頭痛発症中の方がマシなのです。常に痛いのですが。。。当然、作品制作の作業効率もぐんと下がります。発症中は体に受ける小さな痛みの衝撃でさえ、頭痛アマゾン河へと怒濤の如く合流します。なので日常の動作でさえ相当鈍くなっているのですが、流石にこれだけ長期間煩っているとコツと言うか、付き合い方にも多少は心得が出来ました。

問題は偏頭痛の嵐が過ぎ去った後なのです。偏頭痛モードの再起動を心配する余り外出したり、人と会ったり、作品制作で前述したような体勢をとる事にかなり消極的になってしまうのです。偏頭痛アフター1~2ヵ月は、再発の恐怖との戦いなのです。おそらく常に心ここに有らず状態です。

———この不安感&恐怖感、同じ症状でお悩みの方、解って頂けますよね?

偏頭痛発症期間と、このアフター期間、かなり色々な事が不可能になります。以下に列挙しますと、

1.電車に乗れなくなります。駅のホーム・階段のような高低差の多い所を歩くのも困難になります。
2.ギャラリーのオープニングパーティーに行けなくなります。特に狭い会場で混雑している場合。
3.ライブハウスにも行けなくなります。これまた狭い会場や大音量系の場合、特にダメです。
4.大型書店にも行けなくなります。棚の高さが天井近くまであるような設置をしている場合、特に。
5.アルコール類が飲めなくなります。特にワインと日本酒が偏頭痛再起動の恐れ有りなのです!
6.3-D映画が観れなくなります。最も普段も観る訳では無いのですが考えただけでも無理です。
7.ある種の音楽が全く聴けなくなります。これが一番辛いのです!

こうやって改めて列挙すると、私の人生の楽しみの半分以上が奪われている事に今気付きました!十数年前はギャラリー、ライブハウス、大型書店の何れかに週一回ぐらいの頻度で通っていました。そもそも電車に乗れない訳ですから、全てこれらから足が遠のいてしまうのも無理はありません。その他にも色々あるのでしょうが思い出すのも苦痛になって来ましたので、この辺までで。。。

 


 

さて、当ブログは音楽ブログなのです!断じて持病の説明をタラタラとするブログではありません。つまり今までのはマクラ、、、っていくらなんでも長過ぎるでしょうが!まあ、いつもの事ですが。

では、上記7.の “ある種の音楽” ———題して “偏頭痛を悪化させる素晴らしき音楽群” について、思いついた音盤から順不同に列挙します。何故順不同かと言うと今回このブログを書くにあたり、ベスト10だか20だかを選出しようと思ったんですが止めました。きっとわたくしの事ですから厳密・完璧に選ぼうとし、聴き直したりするうちに “偏頭痛モード再起動” になりそうだからです。

当然、私の所有するLP・CD・カセットの範囲内での毎度の片寄ったレポートなのですが、、、いや、音の臨床実験と言った方が良いのかも!それでは、ゆるりと始めます。

 

◎『エレファント カシマシ / エレファント カシマシⅡ』(’88年)◎『エレファント カシマシ / 生活』(’90年)
先ずはメジャー所から。何の予備知識も無しにこのセカンドアルバムを聴いた時は大笑いしました。その声量のあまりの大きさにです。CDでこそ録音出来得た音。LPだとレッドゾーンをブッチして音割れを起こしそうです。この次のサード「浮世の夢」で一旦おとなしくなったかと思ったら、4枚目「生活」で再び爆音に。’96年の大ヒット以降ファンになった人に是非聴いて欲しい2枚です。

 

◎『ボアダムズ / スーパールーツ3』(’94年)◎『ボアダムズ / スーパールーツ 5』(’95年)◎『ハナタラシ / 3』(’89年)◎『ネイキッド・シティー / 拷問天国』(’91年)
これら主催/参加の山塚アイ氏は、一貫してかなりの偏頭痛悪化/再発度の高い音を奏でてくれます。『スーパールーツ 3』は33分で1曲のノンストップ疾走系ハードコアパンク。『スーパールーツ 5』は64分で1曲のノンストップヘビーノイズロック。この2枚がメジャーから出た事自体が奇跡です!『ハナタラシ』は言わずもがなのノイズの王道。録音自体は’80年代前半だと思われます。『ネイキッド・シティー』は山塚氏参加の高速プログレッシブハードコア絶叫系ジャンクジャズ。こちらは打って変わって26分で42曲収録。最短曲は8秒!、、、微妙に偏頭痛再発の兆しが!!!

 

◉『FURIOUS PIG / FURIOUS PIG (12インチ・シングル)』(’81年) ◉『DNA / A TASTE OF DNA (12インチ・ミニ・アルバム)』(’81年)
この2枚は両方共、収録時間が非常に短いアナログ盤です。『FURIOUS PIG』は全く未知の集団。問題は驚異的なその音です。収録の3曲全て多人数の声のみによる謎のアカペラ音楽なのです!インドネシアのケチャを崩しまくった様にも聴こえますが、それよりも断然ノイジーです。偏頭痛時にこれは平気かなと聴きかけ、5秒程で針を上げました———頭が割れそうでした!『DNA』はA面が4分13秒、B面が5分35秒、これで6曲入り30cm33回転なのです。本来ならば普通の17cmシングル45回転でも収録出来る長さです。その分、溝が数えられるほどに太い。つまりかなりラウドな偏頭痛促進音で再生されるのです!この時期のアート・リンゼイ氏はおそらく、ギターは全く弾けないのでしょう。しかし氏のノー・チューニング5本弦ギターは歯医者の機械音的な神経逆撫でノイズを饒舌に奏でるのです———つまりモロに神経に来るのです!

 

◎『BJÖRK / HOMOGENIC』(’97年)◎『BIG BLACK / SONGS ABOUT FUCKING』(’87年)
この方々も痛いです!『BJÖRK』は声量があり唄も上手過ぎるゆえ声が直接頭に突き刺さります。偏頭痛時にこのCDをヘッドフォンで聴かされる事は、きっと拷問に等しい行為だと思われます。これを中国でリリースする際には「病苦/男色銭苦」という漢字表記にして頂きたいです。『BIG BLACK』はギター/ギター/ベースの3人組バンド。4人目のメンバーのドラマーは何とリズムボックスなのです!前編ノイジーで軋みっぱなしのギターサウンドの間から聴こえる妙に規則的な機械音。どちらの音も内側と外側から、ダブル効果で偏頭痛持ちを責め立てます!

 

まだまだ紹介したい “偏頭痛を悪化させる素晴らしき音楽群”有リ〼!以降、次回に続きます。

 


 

K氏、今回いつにも増してけったいな事を書いていると思います。こうやって記述していると、“偏頭痛に悪い音楽” なのか、“音楽自体が偏頭痛的” なのか、境目が曖昧になってきました。

しかしK氏、さっきから微妙にポカンとした表情ですが、、、何か言いたい事でも?え?初めて聞いたって、わたくしの持病のハナシを!だって今までに散々何回も話したでしょうが!聞いたかしらんがそんな事全部忘れたわ!って、そりゃK氏は偏頭痛にもならんでしょうその性格!ええ!貴殿にはきっと理解出来ないでしょう、こんな “大人のたしなみ” なんか、決して!決して!!

、、、、、、いま・こめかみに・きぃーんと・ひさびさに・なにかが・はしりました。。。

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